火星は、太陽系で地球のすぐ外側をまわる惑星です。
火星の赤い光を、古代西洋の人々は戦火や血の色になぞらえ、軍神の名前を付けて不吉な星としていました。
東洋でも、天空で不規則な動きをする火星を、災いの前兆の星としていたようです。
このようにネガティブなイメージが強く、少々扱いの難しい火星ですが、ホロスコープにおいて重要な役割を持っています。
この記事では、現代占星術における火星の象意と、年齢域や公転周期、オーブなどの基本情報を解説します。
目次
火星の象意(キーワード)
火星の象意には、以下のようなものがあります。
火、情熱、行動力、積極性、勇気、決断力、スポーツ、闘い、闘争心、戦争、暴力、怒り、短気、衝動、欲望、支配力、主権、男性性、リーダー、ヒーロー、軍人、戦士、武器、刃物、切断、血、手術
古代、さまざまな文化圏において不吉な星と見られていた火星は、占星術においても昔から凶星(マレフィック)として扱われ、争いや不和を起こすとされてきました。
火星は英名でマーズ(Mars)、ローマ神話ではマルスと呼ばれる軍神で、ギリシャ神話のアレスという戦いの神と同一視されています。
軍神と言っても知恵を使った戦いなど、その戦い方はさまざまですが、アレスの戦いは暴力的で血なまぐさいイメージです。
一方でアレスは、金星の象徴である女神アフロディーテと恋人(不倫)関係だったとされていますが、西洋占星術でも、金星が女性性を表すのに対し、火星は男性性を表すとされていますね。
また、女性にとっての火星は理想の男性像も表すとされてきました。
男性性が行き過ぎれば攻撃的な面が強調され、トラブルや争いの元となる火星ですが、その男性的なエネルギーをうまく扱えれば、行動力やリーダーシップといった面を発揮する頼もしい星と言えます。
火星の基本情報
ここからは火星についての基本的な情報を紹介します。
支配するサイン | 牡羊サイン、(蠍サインでは火星は副支配星) |
公転周期 (ホロスコープを一周するまで) |
687日 |
イングレス期間 (一つのサインを通過するまで) |
43日間 |
逆行期間 | 80日間 (2.1年に1回) |
年齢域 | 36歳~45歳 |
火星が支配するサイン
火星が支配するサインは、牡羊座と蠍座です。
蠍座は冥王星が発見されて以降、冥王星が支配星となり、火星は副支配星として扱われています。
牡羊座と火星
牡羊座は3月の春分から始まる星座で、12星座の先頭に位置しています。
古代ローマでは3月を1年の始まりの月とし、気候が暖かくなってくると同時に人々は農耕を始め、戦争に向かって動き出しました。
Marchという3月を表す英語は、火星を象徴する軍神マルスから来ていますが、マルスには農耕の神という側面もあります。
人々が活動を始める時期に位置する牡羊座を支配する火星は、原始的で生命力のある、外向きのエネルギーです。
蠍座と火星
一方で蠍座が扱う火星のエネルギーとは、情や欲望といった深く内面的なものです。
蠍座の心臓の部分には、火星と同じように赤く輝く1等星「アンタレス」があります。
アンタレス(antares)という星の名前は、「ant」という言葉と、戦いの神アレスの「ares」が一つになったものです。
「ant」はアンチという反対や対抗を表す言葉の語源のため、アンタレスを火星に対抗する星と捉える向きもあるようですが、本来は「似たような星」という意味だそうです。
火星によく似たものを心臓に持つ蠍座。
火星のエネルギーを内に秘めている、とも言えますね。
火星の公転周期
火星は太陽から見て地球の外側をまわる外惑星で、公転周期は687日です。
約2年半かけて12星座を一周します。
同じ外惑星でも、木星や土星は地球から距離が離れているため公転周期の差が大きく、地球から見ると比較的秩序のある動きをします。
しかし地球のすぐ外をまわる火星の天空での動きは不規則で、近づいたり離れたり逆行したりと、古代の人の目には夜空を暴れまわる動乱の星と映ったようです。
また、地球との距離の変化とともに明るさや大きさも変わるので、火星の赤い光はより不気味に見えたことでしょう。
火星のイングレス期間
火星のイングレス期間は、約43日です。
1つのサインには2か月弱滞在します。
火星は個人天体に分類され、個人的なことに影響を与えると言われます。
火星の位置やアスペクトによって、個人のどの分野での頑張り時なのかや、どの分野でのトラブルが起こりやすい時期なのかがわかります。
また、火星の次の木星からは社会天体となるため、火星はちょうど個人と社会の狭間に位置します。
そのため、個人の中でもより外向きの、社会と関わる部分に影響を及ぼすと言って良いでしょう。
火星の逆行
火星の逆行は2.1年に1度、80日程度の期間で起こります。
火星逆行期間は、感情のコントロールが難しくなったり、行動が空回りするなど、自身のエネルギーをうまく扱えなくなる時期です。
特に火星が入っているサインの分野については、これまでのやり方を見直したり、意識してリフレッシュしたりすると良いでしょう。
無理にやる気を出して物事を進めようとせず、調整期間として過ごすのがおすすめです。
火星の年齢域
火星の年齢域は、36歳~45歳です。
直前の太陽の年齢域で育んだ「これが自分」というアイデンティティを、社会へ打ち出していく時期です。
太陽が示す人生の目標を行動に移し、形にしていくのが火星です。
社会の中で自分を表現したいという情熱が高まるので、「自分の人生はこんなものじゃない」「このまま終わりたくない」というフラストレーションを感じることもあるかもしれません。
熱くチャレンジすると同時に、自分のエネルギーの扱い方を覚え、次に来る木星の年齢域での豊かさを受け取りましょう。
まとめ
今回は現代占星術における火星の象意と、支配するサインや年齢域などの基本情報について解説しました。
古代から不吉な星とされてきた火星は、確かに注意が必要ではありますが、扱い方次第では人生を切り開くエネルギーとなる頼もしい星です。
ホロスコープにおける火星をバランス良く活かして、ご自分の運命を上手に乗りこなしてくださいね。
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